TV番組評

        「ひとりでできるもん!」

                NHK教育 月〜金  7:31〜 7:46
                                  17:15〜17:30(再)


 1998年1月、「雄大&日菜子」から見始めた私にとって、この番組は

「料理番組」でした。少なくとも私はそう解釈して、楽しんで見ていたので

す。


 1998年4月から、番組内容はリニューアルされました。

 登場人物が一新されただけではありません。『番組内容』が変更されたの

です。

 それまではあくまでも“料理”に限定されていた「ひとりでできる」こと

が、今度は“生活の中で起こる色々なこと”に拡大されました。その中で、

料理は1コーナーとして取り入れられる形になりました。


 これは、「料理番組」として見ていた私にはショックでした。

 料理自体は毎回行なわれているものの、その作業の進行度はこれがまたゆっ

くりで、正直かなりキツかったのです。ただ、本来の視聴者層のことを考え

れば、このゆっくりさは圧倒的に正しいワケで、本来の視聴者層ではない人

間が文句をつけられる話ではありません。オトナの子供番組の熱心な視聴者

の抱えるジレンマです。


 毎日の「生活の知恵」的な情報というのは、それはそれで面白かったので

すが(「はなまるマーケット」のような)、でも、何故か馴染めなかったの

です。

 後々どんどん改善されていったようですが、1999年に再就職できたこ

ともあって番組からは離れてしまいました(それでもしばらくはビデオ録画

してたんですけど)。


 そして2000年初頭。会社の解散によって離職する羽目になった私は、

再度「ひとりでできるもん!」に触れることになりました。やっぱりところ

どころキツかったのですが、最終回ではちょっとしんみりしてしまいました

(別れでまいちゃんが流した涙は、演技ではなかったと思う…)。


 そして、2000年4月。登場人物・設定が一新される。

 主人公のまいちゃんは、前シリーズと同じく小学1年生(ついでに名前も

一緒だ、姓は違うけど)。ただし今作では、時計の中の別世界「タンタタタ

ウン」を設定、そこにある「ホンキィハウス」で色々なものごとに一人でチャ

レンジしていくようになりました。

 この設定によって、前シリーズの「両親が外国にいて、小学生の女の子が

一軒家に一人住まいする」という(いくら一人きりの環境を作るためとは言っ

ても)かなりムリのある設定から脱却できました。…まぁ、「時計の中の別

世界」とどっちの方がムリがあるか、ってのは考える余地があると思います

よ、ええ。


 ただ、この設定によって、身近な「大人」の存在、つまり「親」の存在を

出す必要はなくなったのです。

 前シリーズでも、スタッフは当初「親」の存在はかなり薄くしたかったは

ずです。それは第1回目で、両親と「トモ姉(日本での面倒を見るハズだっ

た)」の顔を決して写さなかったことからも推測できます。

 それが比較的早い時期に崩れてしまったのは、「小学生の一人暮らし」に

は絶対に大人のサポートがなければおかしいから、でしょう(確か最初にト

モ姉の顔が出たのは、預金通帳を作る話だったかな。そりゃ、子供だけじゃ

作れませんよね)。この世界の常識に照らし合わせてしまえば、明らかに無

理なのです。


 それを可能にするのが、“別世界”という非現実的な空間です。

 タンタタタウンは別世界、そこに親がいなくても何もおかしくない。現実

世界の常識で考える必要はないのです。

 そして現実の世界では実際の生活を行なっていて、そこには親もいます。

だから(逆説的ですが)、敢えて親の存在を薄くすることが可能になるわけ

です。


 「親」という、身近にいて頼りになる存在がいると、ひとりでチャレンジ

することが難しくなってしまうので、どうにかして除外しなくてはならない

のでしょうね、番組上。親と一緒に布団たたんだり、料理作ったりしてたら

番組の性格変わるもんなぁ。



 ま、それはともかく。

 私個人は前シリーズよりもすんなり入り込めました。これまでのところは

キツいところもあんまりなく、単純に楽しんでます。

 今シリーズは料理にも時間が取られていて、毎回きっちり一品作るのもい

いですね(前シリーズでは、たいてい複数回かかっていました。一週間まる

まるかかることもありましたし)。


 前シリーズの悪かったところはほとんど改善されていますし、子供向け

「お手伝い啓蒙」番組として、完成の域に近付いてるのではないかと思いま

す(え、狙いどころは違う?)。

 まぁ、いい年した私は、ただ「面白いな〜」って見てるだけなんですが。


                                                   P.N. dummy.x.

(EOF)

P.S.

 電クラ読者ならご存知かと思いますが、NHK教育の子供向け娯楽番組に

小学生対象の学校教育番組は、ときどきキツいのを我慢すれば、なかなか楽

しめますよ。

 ちなみに、私が毎回欠かさずに見ようと心がけてるのは、次のものです

(2000/06/24 現在。「ひとりで〜」は除いた)。:

「ハッチポッチステーション」    (月〜金/17:40〜17:50)
「つくってワクワク」            (木〜金/16:55〜17:00)
「むしまるQ」                  (土/ 9:00〜 9:15)
「科学デジタル質問箱」          (土/10:00〜10:30)
「ニャッキ!」                  (火/ 8:25〜 8:30 or 16:15〜16:20)
「つくってあそぼ」              (火/10:30〜10:45)
「なぜなぜ日本」                (火/10:45〜11:00)
「あいうえお」                  (火/11:00〜11:15)
「実りの森のなかまたち」        (水/ 8:25〜 8:30 or 16:15〜16:20)
「わくわくサイエンス」          (金/11:45〜12:00)

(realEOF)